どれが正しいの?というと全部正解です、はい。ぼくは最初に仮想通貨について調べた時、人やサイトによって呼び方がバラバラでちょっと混乱しました。
「仮想通貨」という呼び方がいちばん使われているように思いますが、暗号通貨、暗号資産、クリプトなど、今でもいろいろな呼び方が使われます。
今日はそんな呼び方の意味を学んで整理してみたいと思います。
ポイント
・仮想通貨、暗号通貨、暗号資産、クリプト、どれも正しい(間違いはない)。一般人としては同じ意味だと思っておいてほぼ問題ない。
・「仮想通貨」が初期に使われ、実際にもっとも広まっているため世の中には「仮想通貨」と言っている人が多い
・国(金融庁)としては「仮想通貨」から「暗号資産」へ呼び方を変えた(2020年5月1日施行の資金決済法による)
なぜ、いろいろな呼び方が使われているのか?
いろいろな呼び方があるのは、いくつか理由があります。
①まだ仮想通貨の歴史が浅く、どんどん新しい種類が出てきているから
最初はほぼビットコインくらいしか考えてませんでしたからね。今ではその枠にはまらない種類がたくさん出てきています。
ビットコインが出てきた2009年当時では想定しなかったような使われ方も出てきています。Defi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)などを最初から考えてネーミングしていたとはとても思えません。
もしかしたらサトシ・ナカモト(ビットコインの創始者)は見通していたかもしれませんが、ユーザーの想像力が追いつかないですよね…。
②世界中のいろいろな機関があとから呼び名を提唱してくるから
日本でも最初は「仮想通貨」、あとから「暗号資産」と呼ぶことになりました。しかし既に「仮想通貨」が浸透してしまっていて、一般的には「仮想通貨」と呼ぶ人が多いですよね。
世界の関連会議でも当初は「仮想通貨(Virtual Currency)」や「暗号通貨(Cryptocurrency)」という呼び方をされていました。
その後、G20 などの国際会議で「暗号資産(Crypto asset)」と表現されることが増えてきました。
これによって日本国内でも、仮想通貨の呼び方を世界に合わせようという動きが出ました。2018年12月に金融庁が「仮想通貨」から「暗号資産」へ呼び方を変える発表をしました。(2020年5月1日に改正資金決済法という形で正式に施行されました。)
また1年くらいしたら別の呼び方が広がっているかもしれませんね。
※ちなみに、政府によって仮想通貨が初めて認識されたのは2014年で当時政府は「ビットコインは通貨ではない」という見解に基づいて、『価値記録』という呼び方をされていました。価値記録…!意味合いから絞り出した言葉に聞こえますねえ。
③仮想通貨の受け入れ先が広がっているから
仮想通貨は最初はネット上のごく限られた範囲でしか使われないものでしたが、今ではその受け入れ先がかなり広がりました。そのため、「仮想」という表現がそぐわないもの、「通貨」の枠に収まらないもの、などが出てきたのです。
そして、2021年9月にはついにビットコインがエルサルバドルで法定通貨になりました!これによって「法定通貨」というステータスも得てしまいました。
仮想通貨は法定通貨ではないという前提で考えていた人が多かったと思います(特に先進国の政府や中央銀行など従来の通貨経済の中心にいた人たちは…)。その前提が崩れることになりました。
ぼくが2021年の1番のニュースにビットコインの法定通貨化をあげたのも、このような国際的な地位向上が理由です。
具体的に言葉の意味を考えてみる
仮想通貨は「仮想」の「通貨」です。「仮想通貨」という言葉は「法定通貨」に対して区別する言葉として理解する必要があります。
「法定通貨」は日本円とかUSドルとか、紙幣や硬貨という実物が存在する、いわゆる「お金」です。これらは発行者がいて(日本円なら日本銀行、つまり日銀が発行しています)、その価値を保証しています。
「法定通貨」には強制通用力というものがあって、「その通貨での受け入れを拒否することができない」のです。日本国内のお店で日本円を拒否するところはないですよね。どんな田舎の古びた商店に行っても、日本円は受け入れてくれます。
(補足ですが、電子マネーやクレジットカードを受け入れないという話とは違います。電子マネーやクレジットカードは日本円の支払い手段であって、日本円を払っているという点は同じです。電子マネーでもカードでも紙幣・硬貨でも、日本円は日本円です。)
そんな「法定通貨」に対してビットコインなどは実際のお店などで使うことは現状ほぼできないので、限られた仮想コミュニティでしか通用しないという意味合いで「仮想」とつけられました。
(※日本でもビックカメラなど実際の店舗でビットコイン決済ができる場所はあります。ネット上でしか使えないというものではなくなってきました。)
では「暗号」は何かといえば、「暗号化」です。仮想通貨はブロックチェーンという新しい世代のIT技術に支えられています。ブロックチェーンにおいては取引はすべて暗号化されているのです。
暗号化とは、メッセージまたはデータを安全に送受信するための方法です。送信者はメッセージを「暗号化」してその内容を第三者にわからないようにし、受信者はそのメッセージを「解読」して再び判読できるようにします。
この暗号化がなぜ重要か?というと、取引(クリプト界ではトランザクションと言います)を「匿名」で「安全」で「信頼不要」にしてくれるからです。
つまり、取引するために相手を知る必要はありません。銀行、カード会社、政府も必要ありません。暗号化されているデータだけを見ても、解読方法を知らなければ何も読み取れないので心配する必要もありません。
暗号化について深掘りすると話がむずかしくなるので、この記事ではここで止めておきます。ともかく、暗号資産や暗号通貨の「暗号」とは暗号化のことを意味していると理解してもらえればと思います。
最後に「クリプト」です。「クリプト(Crypto)」は英語で「暗号」を意味します。暗号資産は「Crypto Asset」、暗号通貨は「Crypto Currency」です。そのため、広義の仮想通貨・暗号資産に関わるものを「クリプト○○」と呼んだりします。
ぼくもブログでたまに「クリプト民」という言葉を使っていますが、これはクリプト愛好家、クリプト信者のような意味です。
というわけで使われている言葉の要素に分解して考えてみました。少しずつ意味合いや意図が異なっている部分があることがわかります。まだ歴史の浅い産業なので、こうやって呼び方が変わることは仕方ないことです。
あくまで一般人としてはどれも同じ意味で捉えておいてほぼ困ることはないです。でも、意味を考えておくと理解が深まって楽しいですよ〜。
まとめ
というわけで今日は「仮想通貨」「暗号通貨」「暗号資産」「クリプト」という呼び方の違いについて整理してみました。どれも正しく、間違いはありません。
少なくとも日本国内では「仮想通貨」がもっとも多く使われています。ぼくも意識して「仮想通貨」という言葉を使うようにしています。
国(金融庁)としては「仮想通貨」から「暗号資産」へ呼び方を変えましたので、確定申告のことなど考えると暗号資産という呼び方は覚えておいた方が良いでしょう。
個人的には仮想通貨という言い方は何か怪しいイメージを与えている気がして、あまり好きじゃないです。仮想通貨に対して批判的な人が「仮想通貨は実態の価値はないただのゴミだ」とメディアでよく発言しているからかもしれないですが。
そういう批判的な人たちは仮想通貨は限られた仮想空間の中でしか価値がないと思っているようです。しかしもはや仮想通貨は昔のゲーム内コインとは違って、社会に広く受け入れられ始めています。
そういう意味でもますます「仮想通貨」という呼び方は適切じゃないなと思います。それでも、やはり一般的に広まっているのは「仮想通貨」なので、しばらくぼくも(違和感を持ちながらも)仮想通貨と言い続けたいと思っています。
人生は毎日が学びです。呼び方の違いから仮想通貨の歴史や議論の経緯を学んで賢くなりましょう!それではまた〜
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