Web3という言葉が2021年からかなり多くの人によって発信されています。ぼくもWeb3について知れば知るほどワクワクしている一人です。
でもWeb3って何なのか、まだイマイチわからない部分があります。そして、Web3というからにはWeb1、Web2の時代があったんです。
今日はそんなWeb1、Web2とは何だったのか?そしてWeb3はWeb1,2と何が違うのか?という点を整理して学んでいきたいと思います。
Web3とは何か?
いきなりですが、Web3とは何か?という質問がかなりむずかしい質問です。Web3とはまだ実現されていない概念なので、まだ具体的な姿をイメージしきれません。
それでもWeb3とは何かを説明しようとすると、まずは「非中央集権的なインターネットの世界」ということになります。Web2の代表格の一つであるGoogleのような中央集権的な管理者がいない世界です。
この「非中央集権的なインターネットの世界」を実現する為のコア技術が「ブロックチェーン」です。(ブロックチェーンはPoWなら「マイナー」、PoSなら「バリデーター」と呼ばれる人たちがトランザクション(取引)の承認をすることで取引が成立していくインターネットの仕組みです。)
たまに「Web3=ブロックチェーン」というような説明を見かけることがありますが、ぼくは個人的には一段飛ばしせずに理解したほうが良いなと思います。
なぜならWeb3という言葉は「概念」であって、ブロックチェーンという言葉は「技術」だからです。「Web3を実現するための技術がブロックチェーン技術」という表現なら的を得ているかなと思います。
ぼくの浅い理解ではWeb3とは何かの説明は「非中央集権的なインターネットで、その実現のキーはブロックチェーン技術」、以上がキーになると思います。
ちなみにこの「Web3」という言葉を世界で初めて語ったのはギャビン・ウッド氏(Gavin Wood)です。ギャビン・ウッド氏はイーサリアムの共同創始者のひとりでもあり、ポルカドットの創始者でもあります。
Web3と高い関連性を持つキーワード
ただ、これ以外にもWeb3と高い関連性を持って語られるものがあります。Web3の重要な要素になる可能性がありますので、これらもあわせて大まかに把握しておきたいと思います。
「トークンエコノミー」
トークンエコノミーとは仮想通貨トークンを使った経済圏のことです。これはWeb3とかなり関連性が高いとぼくは捉えています。
Web2までの世界では経済圏を形成するものは円やドルなどの法定通貨やゲーム内通貨でした。これがWeb3になるとトークンによって経済が回るように設計される可能性が高いです。
トークンはビットコインなどの主要仮想通貨と同様に政府や中央銀行の影響を受けません。そしてウェブ上の取引所で誰にも制限されることなく自由に売り買いすることができます。
現にWeb3プロジェクトの多くがウォレット接続を前提としたトークンエコノミーを設計に組み込んでいます。Web2ではクレジットカードでネットライフを楽しみました。
Web3ではウォレットでネットライフ(おそらくそれ以上の拡張世界が待っていると思いますが)を楽しむようになると思われます。
「クリプト(暗号資産、仮想通貨)」
トークンエコノミーとほぼ同じ意味で重要性を理解する必要があります。「トークンエコノミー」とは「経済圏」という意味ですが、「クリプト」と言った場合にはその経済圏を形成するために使われるツールとしての「トークン、通貨」を意味します。
「クリプト(暗号資産、仮想通貨)」視点でぼくが注目するのは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、バイナンスコイン(BNB)のような既にメジャーになっている通貨を使うのか、それとも独自の通貨を使って経済圏を作りに行くのか、です。
今日(2022年4月26日)時点でCoinMarketCapには19,119の仮想通貨が登録されています。まだクリプトの歴史は浅いので、質の悪いものも含めて新規トークンの発行が乱発されているとぼくは捉えています。
ちゃんとプロジェクト内でそのトークンを通じて経済圏が回るようになればもちろん良いです。しかし、用途のない通貨や需給バランスの成立しない通貨はあっという間に価値がゼロになります。
そういう意味でWeb3の世界では各プロジェクトがどのような通貨(トークン)を使って経済圏を作りに行くのかという点がとても興味深いと思ってぼくは見ています。
「NFT」
「NFT=Web3」というと言いすぎだと思いますが、NFTもWeb3における重要な要素の一つになる可能性が高いと思います。
NFTの用途はまだPFP(Twitterの六角形アイコンなどに使うプロフィールフォト)のようなWeb上のファッション性としての部分が大きいですが、今後はそれ以上の用途が間違いなく広がります。
既に一部ではNFTをチケット、パスポート、会員権のような用途に使い始めています。Web3がウォレット接続によってトークンエコノミーを作ることを前提とするなら、Web3時代にはユーザーみんなが自分のウォレットを持ちます。
そしてNFTは仮想通貨と並んでウォレットの中に入っています。そのため、ウォレットを接続すれば向こうからは「あ、この人はこのNFTを持っているんだ」と見分けることができるのです。
Web2時代には「ID」と「パスワード」で会員登録して、サイトによってはその利用頻度や金額によって会員としてのランクが上がったりしますよね。
Web3時代も同じようにいつも使ってくれる人やお金を落としてくれる人に対する優遇はあるでしょうが、それに加えて持っているNFTによってランク付けがされる世界が来るかもしれません。
「メタバース」
次にメタバースです。Web3によって今までのメタバースが抱えていた問題の多くを解決してユーザーが一気に増える可能性があります。
メタバースについては賛否両論というか、さまざまな意見があることを抑えておいた方が良さそうです。
メタバースは最近になってトレンドワードになりつつありますが、実はメタバースというのはそれなりに歴史があります。「メタバース」という言葉が初めて誕生したのは、1992年にアメリカのSF作家Neal Stephensonによって発表されたSF小説「スノー・クラッシュ(Snow Crash)」でした。
そして次に、2003年にアメリカのLinden Lab社による初の本格的メタバースサービス「セカンドライフ(second Life)」が誕生しました。セカンドライフユーザーなんかは「メタバース古参」なんて言われたりもしますね。
セカンドライフは世界的にかなりブームになりました。セカンドライフのエコシステムを通じて100万ドル(≒1億円)以上稼いだ人もいたようです。当時は大企業も続々参入してかなり話題をさらっていました。
その後、映画「レディ・プレーヤー」が描いた世界もメタバースでした。あの当時は映像を見ても「さすがスピルバーグ、不思議な世界観を描くもんだなあ」くらいにしか思いませんでした。でも、あの映画の世界観がメタバースそのものだったんですね。
(イーロン・マスクもそうですが、やっぱり天才の考えることは10年くらい経ってようやく世の中が追いついて理解されるということが多いですね!)
ゲームで言えば日本で大ブームとなった「あつまれどうぶつの森」が表現している世界がメタバースです。確かにアバターがゲーム内キャラクターに限定されていて、お金がゲーム内通貨に限定されているというのは事実です。
しかし、「あつまれどうぶつの森」ではメタバース空間上で友達と会って現実世界とリンクしたかたちで人との交流や経済活動をできるのです。ここがメタバースの肝ですよね。
反対意見もあることを承知で完全にWeb3 x メタバースをポジティブに捉えた意見で書くと…メタバースで必要な現実世界とリンクしたエコシステムがトークンエコノミーによって実現されそうな見込みが出てきました。
そしてアバターはNFTで唯一性を確保して、かつファッション性を持たせることで現実世界と変わらない楽しみ方をできる可能性が出てきました。
とはいえ、メタバース=Web3というのはかなり言い過ぎな感じがしますので、ぼくはそういう言い方はしません。それでもWeb3になるとメタバースで実現したかったことが実体経済とリンクして実現しやすくなるのではと思います。
「DAO」
DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略で、日本語では自律分散型組織と訳されます。DAOは株式会社と対比して考えるとわかりやすいです。
株式会社では社長、役員、部長など一定の役職者が意思決定をすると決まっています。大企業で重要な意思決定をヒラ社員が勝手にしたら怒られますよね。
DAOの場合はその組織が何をするかの意思決定はすべて参加者によって行われます。参加者というのは「ガバナンストークン」という投票権のあるトークンを持つ人です。
Web3の世界でDAOが増えると思われる理由は、DAOの運営の仕方がWeb3の非中央集権的な思想とマッチするからです。事実、ビットコインは世界でもっとも成功しているDAOといえます。
ところでDAOもトレンドワードの一つだと思いますが、これもメタバースと同じで、「Web3=DAO」ではありません。Web3とは「非中央集権的なインターネットの世界」だと上で書きましたが、それを実現するためのプロジェクト・組織のあり方の一つとしてDAOが提案されています。
(なお、ぼくは専門家でもエンジニアでもないので、万が一誤解があるようでしたらどうぞご指摘ください。)
Web1, Web2とは何か?
では次に、Web3と比較されるWeb1、Web2とは何なのか!?について学んでみます。ぼくはWeb1を知っている世代ですが、今の学生などはWeb1の時代は知らないかもしれませんね。
「Web1」
ざっくり言うとWeb1はインターネットの黎明期で、「ホームページ」が主流だった時代です。ユーザーはほとんど見ることしかできなかった時代です。(それでも、今まで紙でしか見られなかった情報がPCさえあればいつでも見られるようになったのはすごいことだったんですよ!)
Web1の代表格はYahoo!、Internet Explorer、NetScape、MSNなんかですね。今生き残っているのはYahoo!くらいですね。IEもEdgeに置き換わろうとしていますしし…。
Web1時代は1991年〜2004年くらいとされています。Windowsでパソコンというものをギークだけでなく普通の人が使い始めた時期ですね。
「Web2」
Web2はSNS時代といえば説明が簡単ですかね。ユーザーは見るだけでなく、書いて発信することができるようになった時代です。多くのSNSや、ブログ、Wikiなど一般ユーザーがコンテンツクリエーターになれる時代がWeb2によって訪れました。
Web2の代表格はなんと言ってもGAFAM、つまりGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftです。GAFAMが強すぎて、個人情報を支配することによって批判されたのもWeb2時代の特徴です。
ちなみに今は?と言われると今はまだWeb2時代です!Web2時代は2005年〜現在です。
とは言ってもWeb3に未来を感じている人もぼくを含めたくさんいると思うので、もしかするとWeb2.1くらいかもしれません。少しずつWeb3に近づいていると思いますが、でもクリプト普及率が数%なのでせいぜい2.1くらいかなと思います。
Web3はいつから?と言われるとすごくむずかしいです。10年後の辞書にはなんて書いてあるんでしょう。
なぜWeb3が革命的なのか?
さて、Web3、Web3と言いますが、いったいWeb3の何がそんなにすごいの?
Web3が革命的と言われる理由は、Web2の問題点を解決することでWebの理想を実現する可能性があると思われているからです。
ではWeb2の問題とは何でしょうか?それはまさに「中央集権であること」です。だからこそWeb3の定義は「非中央集権的なインターネットの世界」なのです。
理解を深めるためにもう少し深掘りしましょう。中央集権だと何が問題なのでしょうか?大きく分けて3つの問題があります。
① セキュリティ
中央集権であるがゆえに、大きなプラットフォームになればなるほどデータが集まります。すると当然ですがハッカーにも狙われやすくなります。現代は情報=お金の時代ですからね。
大企業や政府はサイバー攻撃に備えてセキュリティ対策に大きなコストをかけています。それでもハッキングは必ず定期的に起こっていますよね。
2019年にはFacebookで5億3000万人を超えるユーザーの個人情報が流出しました。
Web3ではサーバーのような中央集権的なデータセンターがあるわけではなく、世界中に分散されている多数のノード(端末)によって管理されます。仮に一つのノードが攻撃を受けたとしても直ちにそれだけでブロックチェーン全体が崩壊する可能性は低くなります。
(とは言ってもサイバー攻撃・ハッキングに対するセキュリティ対策は技術進化のイタチごっこなので完全にゼロにはならないと思いますが。)
② プライバシー
Web2ではサービスを利用するためにGAFAMを代表とするサービス運営者に大量の個人情報(住所、年齢、性別など)IDやパスワード、自身の好み、行動履歴などの(とても価値のある)情報を渡しています。
それだけではなく、Web上で何を見たかも追跡されています。出てきて欲しくない広告が勝手に出てきたという経験はみんなあると思います。あれはこの追跡機能によるものです。
プラットフォーマー側は広告を最適化することで「あなたにもっとも適した広告を出して快適にします」みたいなことを言ってますが、完全にプライバシー侵害ですよね。
Web3時代にはウォレット接続すれば認証は完了(という想定をしているサービスが多い)なので、それ以上の個人情報を提供する必要がありません。プライバシー保護はWeb2時代より格段に良くなりそうです。
③ 所有権の独占
3つ目の問題点はコンテンツの所有権がユーザーではなくサービス運営者側にあるという点です。
普通の人はあまり意識していないと思いますが、FacebookでもTwitterでもInstagramでも、投稿したコンテンツの所有権はなんとユーザーにはありません。全て運営者側が握っています。
トランプ元大統領のアカウントがTwitter社により凍結されていることは所有権をサービス運営側が握っていることの良い事例の一つです。YouTubeでも変なことをするとBAN(停止)されたりしますよね。
ユーザーやクリエーターが提供する情報やデータも、実は自分自身には所有権がないのです。これがWeb2の問題の3つ目です。
Web3では中央集権的な管理者がいないので、そもそもトランプさんのアカウントを停止するというような決定を下す人がいません。
仮にコミュニティみんなが停止すべきと考える場合はガバナンス投票という仕組みで決めることになります。それでも「社長の一声で決まる」というような可能性は無くなりますので透明性があります。
というわけでWeb3はWeb2が抱えてきた問題を解決する可能性が高く、そうなれば飛躍的にWebの世界が進化することになります。Web1からWeb2の世界に変わってものすごく便利になりましたよね?
Web2はWebを誰もが使いやすく便利なものにしたという点で、歴史に残るサービスをたくさん生み出しました。でもWeb3はその問題点を解決して、さらに可能性を広げようとしているからこそ革命的だと言われているのです。
まとめ
というわけでWeb1、Web2と比較しながらWeb3の何がすごいのかを整理しました。
もしWeb2からWeb3の切り替わりが今なんだとしたら、Web1時代もWeb2時代も約15年だったということになります。
ということはWeb3からWeb4への切り替わりを見られるのは15年後…?まあWeb4の話をするのは全く時代に対して早すぎるので意味がありませんけどね。
15年に一度くらいの革命が今起きようとしていると考えたら、ワクワクしませんか?歴史の証人になれるかもしれないんですよ。
しかもこれはインターネットだからタイムスパンが早いのであって、従来の産業だったら100年くらいのスパンで起きるレベルの革命だと思います。
今ぼくらが触っているサービスがWeb3の主流になるサービスなのかもしれません。そんな期待に胸を躍らせながら、今日も限られた時間で色々なものを調べたいと思います。あーもっと時間が欲しい…。
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