仮想通貨に初めて興味を持った人は、仮想通貨を最初に作った人は誰なんだろう?って思いますよね。Windowsの生みの親はビル・ゲイツ、iPhoneの生みの親はスティーブ・ジョブズ、そういう話はみんな知っていると思います。
ではビットコインの生みの親は?というと、「サトシ・ナカモト」というミステリアスな存在です。決してテレビに出ることはありません。YouTubeもなければTwitterアカウントもありません。
ではサトシ・ナカモトとは一体誰なのか!?今日はそんな話を記事にまとめていますのでご覧ください。
サトシ・ナカモトとは?
サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)とはビットコインの生みの親と言われている人です。いや、実は正確には人なのか団体なのか明かされていません。
なぜビットコインの生みの親と言われているかというと、サトシ・ナカモトが2008年11月にビットコインに関する論文(ホワイトペーパー)を発表した人だからです。そして、2009年1月にはそれを実際にプロトコルとして実装したしたソフトウェアを作りました。
サトシ・ナカモトはその後もビットコインの開発に携わりますが、2010年12月にその関わりを終えることになります。この頃から開発を全て他の開発メンバーに移管していたようです。
サトシ・ナカモトは、ビットコインの公開と、その後の普及を見届けた後、2011年4月に友人の開発者に「私は別のことをすることにした。」というメールを送り、どこかに消えてしまいました。
というわけで、サトシ・ナカモトは実在する人物なのか否かもわかっていません。名前からして日本人っぽいですが、国籍も性別も不明です。
サトシ・ナカモトのホワイトペーパーにはイギリス訛りの英語が綴られているので、少なくとも英国圏での教育を受けた人物ではないかと噂されています。
ちなみにサトシ・ナカモトは112万5150BTC(5兆円以上)を保有していると言われています。ただ、そのウォレットは既に動かない状態とも言われています。(仮に動く状態だとしても売ることはないと思いますが。)
ちなみに「中本哲史」という漢字表記が出てくることもあるようですが、これは当て字と思っておいた方が良いでしょう。そもそも日本人のように漢字がある人なのかどうかも不明なのが実情です。
なぜサトシ・ナカモトは正体を明かさないのか
というわけで、サトシ・ナカモトは実在する人物なのか否かもわかっていません。もしかすると団体なのかもしれません。
果たしてサトシ・ナカモトは誰なのか!?世界中でその人物探しが行われました。しかし、確たる証拠は10年以上経った今も出てきていません。この先も出てくることはないと思います。
名前からして日本人っぽいので、日本人としては日本の才能を期待してしまいますが笑。
仮想通貨の世界では、このサトシ・ナカモトのミステリアスな部分が神格化されています。仮想通貨の世界において重要な概念、「Decentralized(分散的であること、非中央集権的であること)」を自らの存在を不明にすることで表現していると捉えられるからです。
サトシ・ナカモトが実在の人物だとして、その人が証拠を持って世に出てきたとしたらどうなるでしょうか?メディアがこぞって押しかけて、「ビットコインの将来は?」とか「仮想通貨の未来は?」とか聞くんでしょうね。
そして世界中の投資家がサトシ・ナカモトの発言によって買ったり売ったりする…。これってどこかで聞いたような話だと思いませんか?
現代の株式投資の世界でもウォーレン・バフェットだったり、イーロン・マスクだったり、世界中の投資家がその発言に耳を傾ける。そういう「カリスマ」がいますよね。
でも、サトシ・ナカモトは明らかに自分がそういう存在になることを避けています。なぜなら、それは分散的であるというブロックチェーンの思想に反するものだからです。
謎めいたまま表舞台から姿を消すなんて、カッコいいですよね!!ぼくもそんな粋なことをしてみたいものです。
少し離れたところから「うん、だいぶ良くなってきたなあ」なんて思いながら、サトシ・ナカモトは今の世の中を見ているんでしょうか。会って話ができるものならしてみたいですね!
サトシ・ナカモトの正体に関する諸説
では、サトシ・ナカモトの正体に関して、どのような説が出ているのか見ていきましょう。
前提として理解しておきたいのは、正体は明らかになっていないということです。個人か団体かも不明、今も生きているのか既に亡くなっているのかも不明です。
■クレイグ・ライト
最初に紹介するのは自称サトシ・ナカモトとして有名なクレイグ・ライト氏(Craig Steven Wright)です。世界中でサトシ・ナカモト候補として一番有名なのはこの人でしょう。
オーストラリア出身、ロンドン在住の起業家です。本人自らが「私がサトシ・ナカモトだ。(誰がサトシ・ナカモトかという)論争に終わりを告げたい」と名乗り出ました。
クレイグ・ライトは「ビットコイン論文をサトシ・ナカモトの様な日本名にしたのは、江戸時代の哲学者・富永仲基(トミナガ・ナカモト、1715〜1746)からとったためだ」と主張しています。
クレイグ・ライトは自身がサトシ・ナカモトだと主張して証拠を公開したものの、証拠とは認められていません 。
ビットコインネットワークにサトシ・ナカモトしか知り得ないはずの暗号キーを使って電子署名をしたという話があります。しかし、あれも他のエンジニアたちからは証明にならないと言われています。
クレイグ・ライトのように自ら名乗り出るのであれば、サトシ・ナカモトであることを証明するには、ウォレットの中身を実際に動かしてみればいいわけですよね。でも同氏はビットコインの秘密鍵を「紛失してしまった」と発言しています。
その後「秘密鍵のありかを見つけた」という発言もしていて、二転三転しています。そういうわけで、今では仮想通貨界隈では、クレイグ・ライトがサトシ・ナカモトであるという主張を信じていない人が多いです。
メディアにもあまり相手にされず、ライト氏のところにやってきたのは税金を取りに来た税務署だけだったという笑い話も。(ただ、多額の税金未納で逮捕されることがわかって自らサトシ・ナカモトであることを否定したという説もあるので、付け加えておきます。)
また、クレイグ・ライトはビットコインキャッシュからハードフォーク(恒久的なチェーンの分岐)したビットコインSVの中心人物としても知られています。
このハードフォーク時には、ビットコインキャッシュを暴落させると強く述べるなどの言動が問題視されました。サトシ・ナカモトだったらこういう行動は取らないかなと個人的には思いますね。
■ドリアン・ナカモト
Googleでサトシ・ナカモトを画像検索して最初に出てくるのはこの人です。
ドリアン・ナカモト氏(Dorian Nakamoto)は64歳の日系アメリカ人の物理学者です。YouTube上では、ナカモト氏は日本生まれ、九州生まれの静岡市育ち。駿府城の近くに住んでいたと本人が語っています。
9歳の時、家族とアメリカに渡ったそうです。日本時代の幼名がサトシだったこともあり、2014年にニューズウィーク誌の記者がロサンゼルス近郊に住むナカモト氏に直撃しました。「あなたが本物のサトシ・ナカモトですよね!?」と。
日系人、かつ謎めいた博士風の容貌がそれらしい雰囲気を醸し出していたこともあって、他のマスコミも殺到しました。( Twitterでもビットコイン愛好家でドリアン・ナカモトの画像をアイコンにしている人がいます。)
本人は「ビットコインなんて聞いたこともない」と否定したものの、近くに住む別のナカモトさんまでが疑われる騒動に発展しました。ただ、本人の困惑ぶりもあってすぐに人々はドリアン氏はサトシ・ナカモトではないと理解しました。
今では、彼が本物のサトシ・ナカモトだとは誰も思っていません。しかしそれとは別の話として、サトシ・ナカモトのイメージとしてドリアン・ナカモトの写真はアイコン的存在となっています。
( Twitterでもビットコイン愛好家でドリアン・ナカモトの画像をアイコンにしている人がいます。)
”伝説の人物”と間違えられて(?)今や人気者となったことを、本人は「嬉しい」とも語っています。
ちなみにビットコイナー反省会のYouTubeにドリアン・ナカモトさんが出ているインタビュー動画が上がっています。(ドリアンさん、ちゃんと日本語しゃべれるんですね。)
■金子勇
次に紹介するのは日本人の金子勇さんです。金子さんは本当にサトシ・ナカモトであった可能性がある人物です。
金子勇はWinnyを開発した情報工学者としてとても有名な方です。しかし2019年に42歳で急性心筋梗塞で亡くなっています。
Winnyって今の若い人たちは知らないでしょうね…2002年に登場したファイル共有ソフトです。ファイル共有をPeer to Peerでできるソフトという点で革命的で、一世を風靡しました。ぼくも使ってましたね。すごいソフトで、周りも使っている人が多かったです。多くは違法な音楽とか動画とかでしたが…。
金子勇がサトシ・ナカモトである可能性を感じさせるのは、このWinnyがP2P型の通信方式を持ったブロックチェーンの元祖のようなもので、匿名性をもたせて管理者を必要としないという点も、ビットコインと似ている要素があったからです。
しかし、金子勇のやったことは時代に対して早すぎたんですね。ビットコインに似た「管理者を持たない」やり方によって、著作権違反の音楽ファイルや映画ファイルなどの共有に悪用されてしまうケースが増えました。
そして警察当局に睨まれてしまい、「著作権法違反幇助」の疑いで逮捕されてしまいました。結果としては高裁で勝訴し、最高裁に上告されたものの棄却されたため無罪が確定しました。しかし逮捕から無罪確定までなんと7年半です。
きっとこの裁判で大きなストレスを抱えたことでしょう。42歳という若さで亡くなってしまったのも心労があったものと推測します。ちなみに裁判で戦うため2ちゃんねるで支持者から寄付が集まったという美談があります。
金子勇はWinnyでビットコインに通じる技術を既に実現していたことに加え、英語にも長けていたと言われていますので、金子勇がサトシ・ナカモトであるという説は今も有力な説の一つです。
当人が亡くなってしまっているので、金子さん説が正しいとしても証明される日は来ないと思いますが、それはそれでより一層神格化されることになると思います。
ところで…日本という国が金子勇のようなイノベーターを評価するのではなく逮捕する国であることをとても残念に思いますね。ちゃんと評価をできる社会であれば、今ごろ日本がWeb3界隈で先進国だった可能性があります。
しかし現実には、日本はイノベーターを育てるような土壌にはなく、むしろ既得権益を壊すようなことをすると叩かれることを示してしまいました。
■ハル・フィニー
次に紹介するのは、暗号技術のパイオニアの一人でサイファーパンク(暗号技術を使って世の中を変えようという活動家)のハル・フィニーさん(Hal Finney)です。最初に言っておくと、周りがサトシ・ナカモト=ハル・フィニーではないかと考えたわけですが、本人は否定していました。
彼はビットコインの最初のユーザーのひとりだと言われていますので、初期から関わっていた可能性は高そうです。しかし本人はサトシ・ナカモトではないと否定しています。
ちなみにハル・フィニーは2014年にALS(筋萎縮性側索硬化症)で亡くなりました。しかし、亡くなる直前にも、「自分はサトシ・ナカモトでもなければ、ビットコインの発明者の正体も知らない 。」と断言していました。
ALSになったばかりの頃、彼はフォーブス社の記者の質問に視線追跡ソフトを使って、下記のように回答しています:
「以前取材してもらった際の、ビットコインに関する個人的見解や、私がビットコインに対して理解に苦しんでいた記録が残っているかと思います。あなた方の中には、私が正体を隠すために、わざと分からないふりをしていたと考える方もいるかもしれません。私はビットコインのコードにいくつかの変更を加えてみましたが、サトシ・ナカモトのスタイルは、私のものとは全く異なっていることが、判明しました。私はC++と互換性のあるCでプログラミングをしますが、サトシ・ナカモトが使った方法は全く理解できません。」
自分がコードを書くならサトシ・ナカモトのような方法は取らないとのことです。プログラマーの友人が言っていましたが、コードの書き方にはクセがあって、同じ目的を達成するのにもコードの書き方は人それぞれだそうです。
正体を隠すためにあえて否定している可能性ももちろんありますが、ハル・フィニーがサトシ・ナカモトである可能性は低そうだなとぼくは思っています。ただし金子さん同様に既に亡くなっている方なので証明される日は来ないでしょう。
■ニック・サボ
次に紹介するのはコンピュータ科学者でサイファーパンクのニック・サボ(Nick Szabo )さんです。彼は分散型金融アプリを動かすスマートコントラクトのコンセプトの作者で、1998年にビットコインの前身であるBit Goldを開発しています。
その開発実績などからニック・サボはビットコインを開発していたとしてもまったく不思議ではない経歴の持ち主といえます。
しかし、彼も一貫して自分はサトシ・ナカモトではないと否定しています。そして、ニック・サボの否定を信じる理由は確かに存在します。
それは、ビットコインの世界に実名で積極的に参加をしていることです。ニック・サボという実名で活動している同じコミュニティにわざわざサトシ・ナカモトという別の人間として二重活動する必要性は見当たらないですからね。
というわけで、ニック・サボもサトシ・ナカモトである可能性は低いと思います。
■レン・ササマン
最後に紹介するのはレン・ササマン(Len Sassaman)です。
レン・ササマンは天才暗号技術者として有名でした。18歳で既にインターネット開発者の中では有名で一定の責任を与えられていたと言われれいます。(ネット界の天才はこういう経歴の人が多いですね。)
レン・ササマンは長く闘病生活をしていて、その末に2011年7月に自殺してしまいました。
ササマンが自殺する2カ月前に、ビットコインの発明者であるサトシ・ナカモトは、他の開発者に「自分は今後この世からいなくなるだろう」という意味深長な暗号メールを送っていたといいます。
「この世からいなくなるだろう」の発言の意図がネットから姿を消すという意味ではなく、自殺を意味していたとすれば…サトシ・ナカモトはレン・ササマンだった可能性は十分に考えられます。
■その他
それ以外にもMichael Clear(マイケル・クリアー)、京都大学の望月教授、Vili Lehdonvirtaの3氏の名前も出てきますが、3氏とも否定しています。
まとめ
というわけで、ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトとは一体誰なのか!?という疑問を調べてまとめてみました。
ぼくはクリプトにいろいろ(仮想通貨の取引、NFT、Defiなど)触れていますので、その途中でサトシ・ナカモトの名前はたくさん聞いています。
ただ、その正体についてちゃんと調べたことはなかったので今回の記事はぼくにとっても良い勉強になりました。
サトシ・ナカモトの魅力はその正体がわかっていないことだと思うので、この先も一生明かされることがない方がクリプト界にとって良いことなのではと思います。
個人的には本当に日本人だったとしたら誇らしいことなので嬉しいんですけどね。ぼくもWinnyを触っていたので金子さんだったら面白いし、十分可能性あるよなあとも思います。
まあ誰がサトシ・ナカモトだったとしても、その偉大な功績は間違いなく歴史に刻まれました。そして、たぶんぼくらは今その入り口の本当に初期の初期を見ているんです。
今はまだサトシ・ナカモトの功績も過小評価されていると思います。ブロックチェーンの技術の素晴らしさに気づいていない人も多いですし、ポテンシャルのほんの一部しか使われていないはずです。
サトシ・ナカモトの功績にリスペクトを改めて持ち、これから先のブロックチェーン技術の発展をワクワクしながら見ていきましょう!
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